「夫婦で共有名義にしてマンションを購入したけど、持分はどうすればいいのかな?」
「相続した共有持分の不動産のメリットやデメリットについて知りたい」
「共有持分って売却できる?」
「登記しろって言われたけど、いらないから放棄したいんだけど…」
このようにお考えではありませんか?
共有持分って聞きなれない言葉ですよね。
このページでは、共有持分とは何か、共有名義とどう違うのか、メリットやデメリットは何かといったことを分かりやすくご案内していきます。
目次
共有持分とは?共有名義との違いは?分かりやすく解説!
ここでは共有持分について例を挙げてご案内いたします。
共有持分とは?
共有持分とは、不動産を複数人が共同で所有する場合の所有権の割合のことです。
例えば、ある土地をAさんとBさんが共同で所有しているとします。
このとき、AさんとBさんが持つ所有権の割合が共有持分です。
表は、具体的な共有持分の例を3つ挙げたものです。
パターン例 | Aさん | Bさん |
---|---|---|
パターン① | 2分の1 | 2分の1 |
パターン② | 3分の1 | 3分の2 |
パターン③ | 5分の1 | 5分の4 |
AさんとBさんが土地を半分ずつ所有している場合、共有持分はそれぞれ2分の1になります。
所有権の割合は半分ずつに限りませんし、共有者Cさん、Dさんと複数いることがあります。
さまざまなケースがあります。
共有名義との違いは?
言葉 | それぞれの言葉が指すもの |
---|---|
共有名義 | 1つの不動産を複数人が所有している「状態」を指す |
共有持分 | 1つの不動産を複数人が所有している場合の所有権の「割合」を指す |
共有名義と共有持分の違いは、このように指しているものが異なる点です。
共有名義とは、1つの不動産を複数人が共同で所有している状態のことです。
「共有名義」という言葉の意味に、2分の1や3分の1といった所有権の具体的な割合は含まれません。
一方で共有持分とは、1つの不動産を複数人が共同で所有する場合の所有権の割合を指します。
それぞれ「状態」と「割合」という別のものを指す言葉です。
共有持分を持つ4つのメリットを解説!
- 負担を軽減できる
- リスクを分散できる
- 資産を分割利用できる
- 相続をスムーズ化できる
不動産を共有名義にして共有持分を持つメリットはこの4つです。
それぞれご案内いたしますね。
【メリット①】負担を軽減できる
- 購入費
- 管理費
- 修繕費
不動産を共有名義にして複数人が共有持分を持つことで、これらの負担を軽減することができます。
例えば、不動産の購入費用は高額です。
ですが、不動産を共有名義にして複数人で購入すれば、1人1人の費用の負担は軽くなります。
同じように、不動産の所有後にかかる管理費や修繕費も共有者全員で分け合うため、1人1人の負担が軽減できます。
【メリット②】リスクを分散できる
- 災害による損害
- 急な価格下落
物件の所有者が1人ではなく複数人いるため、不動産に関するこれらのリスクを分散することができます。
【メリット③】資産を分割利用できる
- 共有持分を売却して資金を得る
- 新たに持分を購入して資産を増やす
- 共有持分を担保にして融資を受ける
資産の分割利用の例はこの3つです。
共有名義の不動産は、それぞれの共有持分を自由に売買できます。持分だけを担保に不動産担保ローンを受けることができます。
参考)共有名義・持分ローン
また、他の共有者の持分を新たに購入して資産を増やすこともできます。
【メリット④】相続をスムーズ化できる
共有名義の不動産の場合、共有者の死亡時にはその持分が自動的に共有者の相続人に移転します。
そのため、相続手続きがスムーズになります。
共有持分を持つ5つのデメリットを解説!
- 利用に制限がある
- 売却が難しい場合がある
- 管理が難しい場合がある
- 相続が複雑化する
- 解消が難しい場合がある
不動産を共有名義にして共有持分を持つデメリットはこの5つです。
それぞれご案内いたしますね。
【デメリット①】利用に制限がある
利用方法のパターン | 制限 |
---|---|
短期間の賃貸 | 共有持分の過半数の同意で決定 |
長期間の賃貸 | 共有持分を持つ全員の同意で決定 |
共有名義の不動産の利用には、共有持分を持つ人の同意を必要とするケースがあります。
例えば共有持分を持つ物件を賃貸にして収入を得たいと思っても、あなた1人の意思だけでは実行できません。
また、共有持分を持つ不動産に住む場合、他の共有者の同意が得られなければ、持分に応じた金額を請求されることがあります。
【デメリット②】売却が難しい場合がある
共有名義の不動産を1つの不動産として売却するには、共有持分を持つ人全員の同意が必要です。
そのため、1人でも反対する所有者がいるとその不動産の売却は難しくなります。
【デメリット③】管理が難しい場合がある
管理のパターン | 制限 |
---|---|
大規模な修繕工事やリフォーム | 共有持分の過半数の同意で決定 |
増築や改築 | 共有持分を持つ全員の同意で決定 |
表は、共有名義の不動産を管理する上で制限がある行為の例です。
不動産の形状を変えるものは、1人の判断で実行できないことがあります。
特に増築や改築は共有持分を持つ全員の同意がなければ実行できません。
共有者間で意見の相違が生じてトラブルになることがよくあります。
【デメリット④】相続が複雑化する
共有者の1人が亡くなると、亡くなった方の共有持分をその相続人が相続します。
相続人が複数いる場合、共有者が増えて相続が複雑化するケースがあります。
【デメリット⑤】解消が難しい場合がある
共有持分を持つデメリットを踏まえて、不動産の共有状態を解消したくなったとします。
ですが、不動産の共有状態を解消するのにもまた、他の共有者の同意が必要です。
同意が得られなければ、解消は難しくなります。
不動産の共有持分は放棄できる?手順と注意点を解説!
法律上、不動産の共有持分は放棄できます。
その手順と注意点についてご案内しますね。
共有持分を放棄する手順
- 放棄する意志を明確に伝える
- 共有者の協力を得て書類を準備する
- 法務局に申請を行う
共有持分を放棄するための手順はこの3つです。
放棄が認められれば、放棄した側にはその不動産に対する所有権の一切がなくなります。
共有持分を放棄する際の注意点
- 他の共有者の協力を得る必要がある
- 他の共有者は贈与税を負担する必要がある
- 最後の1人にならない必要がある
- 固定資産税の支払いが発生する
共有持分を放棄する際の注意点はこの4つです。
それぞれ詳しくご案内いたしますね。
【注意点①】他の共有者の協力を得る必要がある
共有持分の放棄自体は単独でできますが、所有権を移すための書類をそろえるのに他の共有者の同意が必要です。
放棄した所有権は、他の共有者に引き取ってもらわなければならないからです。
同意が得られない場合は、裁判所に訴訟を提起します。
訴訟になれば時間とお金がかかりますし、精神的にも大きなストレスを抱える心配があります。
【注意点②】他の共有者は贈与税を負担する必要がある
贈与税とは、個人から財産を無償でもらった人が納める税金です。
あなたが放棄した共有持分は他の共有者に引き取られますが、これが「贈与」に該当します。
そのため、共有者には贈与税の負担が発生することになります。
贈与税は110万円を超えると発生し、条件によって税率や控除額が変わります。
こちらは、共有者が知人で、放棄した共有持分の価格が1,000万円の場合の贈与税の計算例です。
(1,000万円-110万円)×税率40%=356万円
356万円-控除額125万円=贈与税額231万円
贈与税の負担に対して他の共有者が不満を覚えるケースもあるので、注意してくださいね。
【注意点③】最後の1人にならない必要がある
他の共有者全員があなたより先に共有持分を放棄した場合、最後の1人になったあなたは不動産の単独所有者になります。
単独所有者になってしまうと、所有権の放棄はできません。
【注意点④】固定資産税の支払いが発生する
固定資産税とは、土地や家屋などの固定資産を所有している人が納める税金です。
注意が必要なのは、固定資産税の支払い義務が毎年1月1日に発生する点です。
1月2日以降に共有持分を放棄したとしても、あなたにはその年の固定資産を納める義務があります。
不動産の共有持分の売却は可能!相場やリスクについて解説!
不動産を共有名義でお持ちの場合、あなたの所有する共有持分のみ売却することができます。
共有持分のみ売却する場合の相場やリスクについて、詳しくご案内していきますね。
買取り価格の相場
不動産の共有持分のみ売却する場合、買取り価格の相場は市場価格より低くなります。
一般的な目安は市場価格の30%〜80%です。
例を挙げてご説明しますね。
例えば、市場価格4,000万円の不動産のあなたの共有持分を2分の1とします。
このとき、あなたの共有持分の市場価格は2,000万円ですが、実際の買取り価格は2,000万円より低くなります。
3割減の1,400万円の場合もあれば、条件によっては7割減の600万円になる場合もあります。
共有持分を売却するリスク
- 他の共有者との関係悪化
- 他の共有者と新たな共有者間のトラブル
共有持分を売却するときに生じるリスクはこの2つです。
それぞれご案内いたしますね。
【リスク①】他の共有者との関係悪化
あなたの共有持分のみ売却する場合、他の共有者の同意は必要ありません。
ですが、同意を得ずに売却したことに対して、共有者が不満を抱くことがあります。
そうなれば、あなたと他の共有者との関係悪化が心配されます。
また、あなたの共有持分を他の共有者に売却するケースもありえます。
この場合は、売却価格をめぐって両者の間でトラブルになるケースがあります。
【リスク②】他の共有者と新たな共有者間のトラブル
あなたの共有持分を売却した場合、購入した第三者が新たな共有者になります。
他の共有者とこの新たな共有者の間で、管理や利用についてトラブルになるケースがあります。
新たな共有者が他の共有者に対して訴訟を行うような事態に陥れば、あなたと他の共有者の関係もこじれる恐れがあります。
共有持分の売却以外の利用方法を全て挙げて解説!
- 融資を受ける
- 交換する
- 賃貸する
- 寄付する
共有持分の売却以外の利用方法はこの4つです。
それぞれ詳しくご案内していきますね。
【方法①】融資を受ける
メリットのところでもご案内しましたが、共有持分を担保にして貸金業者から融資を受けることができます。
共有持分を売却しないで資金を手にすることができます。
ただし、共有持分の担保評価は難しいので、取り扱いに精通した事業者を選ぶようにしてくださいね。
丸の内AMSの不動産担保ローンについての詳細は、こちらの「共有名義・持分ローン」でご案内しています。
【方法②】交換する
共有持分の交換は、共有状態の解消を目的に利用される手法です。
例を挙げてご説明しますね。
例えばAさんとBさんの兄弟が、2つの不動産をそれぞれ2人の共有名義で持っているとします。
このとき不動産(1)のAさんの持分と不動産(2)のBさんの持分を交換すると、不動産(1)はBさんの単独所有に、不動産(2)はAさんの単独所有にできるというわけです。
不動産(1)と不動産(2)の評価額に差があれば、金銭で差額を支払います。
【方法③】賃貸する
共有持分を持つ物件を賃貸に出して収入を得る利用方法もあります。
共有名義の不動産を賃貸するためには、他の共有者の同意が必要になる場合がある点に注意してください。
賃貸に伴う管理費用や修繕費用等の負担についても、他の共有者の同意を得なければなりません。
【方法④】寄付する
不動産の共有持分を寄付すると、所得税や住民税の軽減につながることがあります。
ただし、全額が控除されるわけではない点に注意してください。
寄付に伴う税金の計算や手続きについて理解しておく必要があります。
また、共有持分を寄付するためには、他の共有者の同意が必要です。
共有持分の不動産って何?に関するまとめ
共有持分とは何か、共有名義とどう違うのか、メリットやデメリットは何かについて解説しました。
メリットとデメリットを理解し、放棄や売却、賃貸などの方法を検討することが重要です。
詳しいアドバイスが必要な場合は、ぜひ丸の内AMSにお気軽にご相談ください。