「固定資産税、払わないとどうなる?」
「年金生活でカツカツ、…でも放置したらマズイよね」
このように考えていませんか?
この記事では、固定資産税を払わないとどうなるのか、プロが分かりやすくご案内しています。
固定資産税を払わないとどうなる?

最終的には自宅や土地が差し押さえられ、公売(こうばい)にかけられる可能性があります。
この場合の公売とは、一定以上の期間、税金を滞納した人の財産(不動産など)を、地方自治体が入札方式で強制的に売却して、その代金を滞納していた税金にあてる手続きのことです。
結果、住んでいる場所を失ってしまいかねません。
滞納から差押えまでの6つの流れと期間
- 延滞金が発生する(納期限の翌日~)
- 督促状が届く(納期限から20日以内に発送)
- 催告書が届く(納期限から1~2ヶ月後)
- 財産調査が行われる(納期限から2~3ヶ月後)
- 財産が差し押さえられる(納期限から3~6ヶ月後)
- 財産が公売にかけられる(差押えから1~数ヶ月後)
※固定資産税を支払っている地域の自治体によって、若干違います
詳しくご案内します。
【STEP①】延滞金が発生する(納期限の翌日~)
固定資産税の納期限を1日でも過ぎると、翌日から延滞金が発生します。
納税の公平性を保つために、地方税法第369条で、納期限後の延滞金が法律で義務付けられているからです。
例えば、固定資産税10万円を3ヶ月滞納した場合、延滞金は約1,500円~2,000円程度です。
延滞金は、納期限からの経過期間によって利率が異なります。
令和3年(2021年)~令和8年(2026年)は、次の範囲で収まっています。
①納期限の翌日から1ヶ月以内:年2.4%~2.8%
②1ヶ月経過後:年8.7%~9.1%
延滞金の利率は、特例基準割合にもとづいて毎年見直されます。
参考)国税庁「延滞税の割合」
【STEP②】督促状が届く(納期限から20日以内)
督促状(とくそくじょう)とは、納期限後に自治体から送られる支払いを催促する書類のことです。
地方税法で、納期限から20日以内に督促状を発送することが義務付けられています。
例えば、5月31日が納期限の場合、6月20日までに自治体から発送され、その数日後に手元に届きます。
【STEP③】催告書が届く(納期限から1~2ヶ月後)
催告書(さいこくしょ)とは、督促に応じなかった場合に送られる、より厳しい内容の支払い要請書のことです。
自治体が納税者に対して、差押えの前に最終警告を行うために送付します。
例えば、「7月31日までに納付がない場合は、財産を差し押さえます」といった内容が記載されています。
【STEP④】財産調査が行われる(納期限から2~3ヶ月後)
財産調査とは、次のような財産状況を調べることです。
- 滞納者の預金口座
- 給与
- 不動産
など
目的は、自治体が差押えを実行する前に、どの財産から税金を回収できるかを確認することです。
銀行や勤務先に照会が行われ、預金残高や給与額が調査されます。
督促状→催告書→電話連絡→差押え予告という流れで、数週間〜数ヶ月程度かかることが多いです。
この期間はケースによって異なります。
【STEP⑤】財産が差し押さえられる(納期限から3~6ヶ月後)
差押えとは、自治体が、財産を勝手に処分できないように法的に押さえる手続きのことです。
督促状発送から10日経過すると、自治体は法律上、差押えを実行できます。
実務では納期限から数ヶ月後に行われることが多いです。
具体的には次のようなことが行われます。
- 預金口座から滞納額が引き落とされる
- 給与の一部が差し押さえられる
- 不動産に差押え登記がされる
こうなった場合は、自治体の納税相談窓口で分割納付を相談するなど、早めに対処なさってください。
【STEP⑥】財産が公売にかけられる(差押えから1~数ヶ月後)
公売とは、前述の通り、差し押さえた不動産や動産を公開で売却し、その代金を滞納税に充てる手続きのことです。
差押えだけでは税金を回収できない場合、財産を換金して回収します。
自宅が公売にかけられると、住む場所を失うことになります。
財産の評価、公売の準備、入札手続きなど複数の段階を経る必要があるため、差押え登記→不動産鑑定→公売公告→入札→落札→引渡しという流れで、半年~1年ほどかかります。
固定資産税が払えないときの8つの対処法
- まず自治体の窓口に相談する
- 分納で支払う
- 徴収猶予・換価の猶予を申請する
- 減免制度を利用する
- 不動産担保ローンを利用する
- 不動産を売却する
- リースバックを利用する
- 任意売却を検討する
詳しくご案内します。
【対処法①】まず自治体の窓口に相談する
自治体の収納課や納税課の窓口で、支払いが困難な事情を説明します。
一時的な収入減や病気療養中など、やむを得ない事情がある人の場合、次のような案内をしてくれます。
- 分納制度…複数回に分けて支払う
- 猶予制度(ゆうよ)…一定期間、納付を延期してもらえる制度
【対処法②】分納で支払う
分納とは、固定資産税を複数回に分けて支払う制度のことです。
自治体の担当者と相談して分納計画を立てます。
例えば、年間30万円の固定資産税を月5万円ずつ6回払いにするといったことです。
【対処法③】徴収猶予・換価の猶予を申請する
災害や病気など特別な事情がある場合に、納付を1年以内の範囲で先延ばしてもらう制度のこと
期間は、自治体と相談して、状況に応じて数ヶ月〜1年以内で決まる
例えば、地震で自宅が被災して、相応の修繕費がかかる場合や入院で医療費がかさむ場合、申請書と証明書類を提出すれば猶予を受けられます。
すでに差押えされた財産の換価を猶予してもらう制度のこと
※換価とは売却して現金化すること
この制度への申請は、差し押さえられた財産を売却されると事業継続が困難になり、生活の糧を失うようなケースで行います。
例えば、配送業をしている人が、固定資産税の滞納でトラックを差押えされた場合に、申請書と証明書類を提出することで、トラックの売却を1年程度の範囲で先延ばしにしてもらうといったことです。
【対処法④】減免制度を利用する
一定の条件を満たす場合に固定資産税の一部(または全部)が免除される制度のこと
一定の条件とは、次のようなケースのことです。
- 生活保護を受給している
- 災害で被害を受けた
- 収入が著しく減少した
生活保護を受給している場合は全額免除、災害で家屋が半壊した場合は50%減免になることが多いです。
自治体の判断で異なります。
【対処法⑤】不動産担保ローンを利用する
不動産担保ローンとは、所有する不動産を担保にして金融機関から資金を借りる方法のことです。
例えば、評価額2,000万円の自宅を担保に、100万円を借り入れて、固定資産税30万円を支払うといったことです。
一時的に固定資産税の支払い資金が不足している場合はご検討ください。
ただし、返済できないと担保不動産を失うリスクがあります。
【対処法⑥】不動産を売却する
所有する不動産を売却し、その代金で固定資産税を支払う方法です。
次のような場合はご検討ください。
- 相続で取得した使わない不動産がある人
- 空き家を所有している人
- 長期的に固定資産税を払い続けられない人
例えば、親から相続した田舎の空き家を500万円で売却し、滞納していた固定資産税25万円を清算し、残りを生活資金に充てるといったことができます。
【対処法⑦】リースバックを利用する
-
自宅を不動産会社に売却した後、賃貸として住み続ける方法のこと
例えば、評価額3,000万円の自宅を2,500万円で売却し、売却代金で固定資産税を支払ったり、生活をするためのお金を確保したりした上で、月額15万円の賃料で住み続けるといったことができます。
固定資産税は買主負担になるため、以降の納税義務はなくなります。
次のような場合はご検討ください。
- 自宅を手放したくないが、まとまった資金が必要な人
- 税金を支払うのは難しいが引っ越したくない人
【対処法⑧】任意売却を検討する
住宅ローンの残債がある不動産を、金融機関の同意を得て市場価格に近い金額で売却する方法のこと
競売より高く売却できますので、住宅ローンも固定資産税も滞納している場合は、競売を回避する手段として利用することがあります。
例えば、ローン残債2,500万円の自宅を2,000万円で任意売却したら、売却代金をあらかじめ債権者との合意した内容にそって配分します。
固定資産税などの税金を優先的に支払い、その後、残った住宅ローンを分割などで返済することが多いです。
よくある質問|固定資産税の支払いについて

Q.固定資産税は免除してもらえる?
一定の条件を満たせば、減免制度で一部か全部が免除されることがあります。
各自治体が災害、生活困窮、公益性などを理由に減免制度を設けているからです。
もちろん「払いたくない」という理由では免除されません。
Q.相続した不動産の固定資産税は誰が払う?
その年の1月1日の時点で固定資産課税台帳に登録されている人です。
理由は、地方税法で固定資産課税台帳に登録されている者が納税義務者と定められているためです。
未登記の不動産や相続登記が未了の場合も、課税台帳に登録されている人が納税義務を負います。
相続が発生した場合は、登記の有無にかかわらず、相続人が連帯して納税義務を負います。
遺産分割協議中でも、相続人全員に連帯納税義務があります。
詳しくはこちらの「共有名義の固定資産税の納税者は?」でご確認をお願いいたします。
Q.10年以上滞納するとどうなる?時効はある?
10年経つ前に、財産(不動産・給与・預金)が差し押さえられます。
固定資産税の時効は法律上5年ですが、督促により時効の完成が猶予され、差押えなどにより時効は更新(リセット)されます。
そのため、実際は時効が成立するケースはまずありません。
- 督促状…納期限から20日以内に発送
- 財産が差し押さえられる…納期限から3~6ヶ月後
Q.今後、払い忘れを防ぐ方法は?
次の方法をご検討ください。
- 口座振替
- クレジットカード払い
- スマホ決済アプリの利用
詳しくは自治体の窓口でお問い合わせください。
Q.生活保護を受けている場合は払わなくていい?
固定資産税が全額免除される自治体が多いです。
ただし、自動的に免除されるわけではありません。
必ず自治体窓口で申請手続きを行ってください。
まとめ
固定資産税を払わないと、最終的には不動産が公売されてしまいます。
不動産を担保にしたローンを組むなど、回避方法がありますので、ご検討ください。


不動産担保ローン











