「税金を滞納し差し押さえの連絡が来た…」
「差し押さえされたら生活できない?何すればいい?」
この記事では、税金を滞納して差し押さえられたらどうなるのかについて、プロが分かりやすくご案内します。
税金滞納で差し押さえられたらどうなる?生活できない?

最低限の生活は法律で守られますので、生活ができなくなるわけではありません。
ここからは次の内容をご案内します。
- どうなるのか?生活への影響は?
- 生活できないのか?
- 家族・職場・近所にバレる?
- 差し押さえされたらどうなる?
① どうなるのか?生活への影響は?
- 延滞税・延滞金がかかる
- 財産が差し押さえられる
税金を滞納すると、主に2つの影響が出ます。
①延滞税・延滞金がかかる
延滞税・延滞金とは、税金の納付期限を過ぎた場合に、未納額に対して日割りで加算されるペナルティのことです。
- 延滞税…国税(所得税・法人税など)
- 延滞金…地方税(住民税・固定資産税など)
国や自治体は、本来受け取るべき税収を期限通りに得られなかった場合、その補填をします。
どちらも税率は同じですが、低い率が適用される期間の区切りが異なります。
- 納期限の翌日から2ヶ月まで:年 2.8%
- 2ヶ月を超えた以降:年 9.1%
- 納期限の翌日から1ヶ月まで:年 2.8%
- 1ヶ月を超えた以降:年 9.1%
例えば、50万円の住民税を1年間滞納した場合、約4万円前後が上乗せされる可能性があります。
滞納期間が長くなるほど総額は膨らみますので、早めの対応が重要です。
税率は年によって変動しますので、国税庁のサイトで最新の情報をご確認ください。
参考)国税庁「延滞税について」
②財産が差し押さえられる
督促状を無視し続けると、給与・預貯金・不動産などの財産が予告なく差し押さえられます。
原則として督促状・催告書・予告通知の順に通知が来ます。
ただし、悪質と判断された場合は予告なしに実行されることもあります。
給与差し押さえは、勤務先への通知が法的に必要なため、会社に必ず知られます。
不動産が公売に出る場合は官報や自治体サイトに掲載されます。
生活できないのか?
冒頭でご案内した通り、最低限の生活は法律で守られています。
給与については国税徴収法76条で差押禁止額が定められているため、源泉税・社会保険料・最低生活費相当額などを除いた残額の一定割合だけが対象になります。
例えば、給与が差し押さえられる場合、以下の考え方で差押え可能額が決まります。
- 源泉所得税・住民税・社会保険料などの天引き分は差し押さえの対象外
- 生活に必要な最低限の費用は保護される
- 上記を差し引いた後の残額のうち、一定の割合が差し押さえの対象となる
生活に必要な最低限の費用は、収入や家族構成などを考慮して個別に判断されます。
そのため、「この金額まで必ず残る」という固定の基準はありません。
地方税の場合も国税徴収法のルールが準用されます。
ですが、分割納付や猶予の判断、事前相談への対応などは自治体によって運用に差が出ることがあります。
家族・職場・近所にバレる?
税金滞納は信用情報機関(CIC・JICC)には登録されません。
信用情報機関が管理するのはローンやクレジットカードなどの金融取引履歴だけで、税金の滞納情報はその対象外だからです。
ただし、次のようなケースでは周囲に知られてしまいます。
| バレるケース | 理由 |
|---|---|
| 給与の差し押さえ | 税務署から勤務先へ差し押さえ命令書が届くため、会社に必ず知られる |
| 不動産の公売 | 官報・自治体の公売サイトに物件情報が掲載される |
差し押さえされたらどうなる?
差し押さえ通知が届いたら、対象の財産(預金口座・給与など)は凍結され、徴収が始まります。
すぐに次のことを行ってください。
- 差し押さえ通知書を手元に用意する
- 管轄の税務署または市税事務所に電話する
- 滞納額の総額・内訳を確認する
- 分割払いや猶予の交渉が可能か確認する
ずっと放置し続けると、他の財産(車や家など)の現金化が進みます。
通知を受け取った当日に連絡するようにしてください。
差し押さえの範囲は?その財産はどうなる?

- 差し押さえられる財産
- 差し押さえNGの財産
この2つについてご案内していきます。
差し押さえられる財産
| 財産 | どうなる? | 差し押さえの上限・目安 |
|---|---|---|
| 給与・賞与 | 勤務先から直接徴収される | 差し押さえ禁止額(源泉税・社会保険料・生活費相当額など)を超えた部分 |
| 現金 | 生活に必要な範囲で保護される | 生活に最低限必要な範囲で保護される可能性がある(数万~十数万円) |
| 預貯金 | 預貯金口座が凍結され残高が徴収される | 口座が凍結され、残高が強制的に徴収される |
| 不動産(自宅・土地) | 公売(オークション)で売却される | 評価額から滞納額相当分 |
| 自動車 | 公売で売却される | 査定額が滞納額を上回る場合 |
| 有価証券(株・投資信託) | 換価されて税に充てられる | 時価評価額に応じて |
| 売掛金 | 取引先から直接徴収される | 滞納額の範囲内 |
| 宝石・貴金属・骨董品など | 公売で売却される | 査定額に応じて |
| その他(換価価値のある資産) | 同上 | 同上 |
現金以外の財産は、次の3段階で処理されます。
①換価…不動産や貴金属は公売(オークション)などで現金化
②充当…①の現金が「滞納処分費」→「本税」→「延滞税など」の優先順位で滞納額に充てられる
③返還…滞納分を完納して余った残額は本人に返還される
車は、査定額が滞納額を上回る場合に差し押さえ対象になりますが、査定額が低く、滞納額の回収に見合わない場合は対象外になることもあります。
公売は入札形式で行われ、落札後、1〜3か月以内に所有権が移転します。
差し押さえNGの財産
| 財産 | 概要 |
|---|---|
| 手取り給与 | 源泉税・社会保険料・生活費相当額などの合計+その残額の一定割合は差し押さえ不可 |
| 児童手当・生活保護などの受給債権 | 全額差し押さえ不可 |
| 食料・燃料 | 3か月間の生活分は差し押さえ不可 |
| 現金 | 3ヶ月程度の食料・燃料の購入に必要な金額など、生活維持に最低限必要な範囲 |
| 衣服・家具・台所用具・寝具などの生活必需品 | 原則差し押さえ不可 |
| 仏具・位牌など祭具 | 葬儀・信仰上利用するものは差し押さえ不可 |
預貯金については、事前に税務署へ相談することで、差し押さえ自体を回避できるケースがあります。
差し押さえ禁止財産は国税徴収法75条~77条で明確に定められています。
差押えられないように、隠したり、名義を変更したりする行為はやめてください。
詐害行為として取り消された上で、刑事罰の対象になる可能性があるからです。
税金滞納時の差し押さえの8つの流れと期間

税金には、2種類あり、徴収する機関が違います。
- 国税(所得税・法人税など)…税務署
- 地方税(住民税・固定資産税など)…市町村
それぞれ、督促状が届くまでの期間や手続きの一部が異なります。
- 差し押さえの8ステップと期間の目安
| ステップ | 内容 | 期間の目安 |
|---|---|---|
| ①滞納の発生 | 納期限を過ぎた翌日から延滞税が発生 | 納期限翌日〜 |
| ②督促状の送付 | 国税:50日以内/地方税:20日以内 | 納期限から約3週間〜50日 |
| ③電話・文書による催促 | 催告書の送付・電話連絡 | 督促状送付後〜数週間 |
| ④財産・人物調査 | 金融機関・勤務先・法務局への照会 | 随時(本人には通知なし) |
| ⑤差し押さえ予告通知 | 予告通知書の送付 | 差し押さえ数日〜2週間前 |
| ⑥差し押さえの開始 | 財産の差し押さえ実行 | 予告後〜即日の場合もあり |
| ⑦換価(公売) | 不動産・動産などの現金化 | 差し押さえ後1〜数か月 |
| ⑧滞納税への充当 | 本税→延滞税の順に充当 | 換価完了後 |
詳しくご案内します。
【流れ①】税金滞納の発生
納期限の翌日から、滞納が発生します。
この時点で延滞税のカウントがスタートします。
理由は、期限内に納付した人との公平性を保つため、未納期間に応じたペナルティを課す仕組みになっているからです。
例えば、6月30日が納期限の住民税を7月1日から滞納した場合、その翌日から延滞税が日割りで加算され始めます。
【流れ②】督促状の送付(国税・地方税の違い)
督促状とは、税金の未納を公式に通知し、納付を求める書類のことです。
送付される理由は、法律上、差し押さえを実施するには事前に督促状を送ることが義務付けられているからです。
- 国税(所得税・法人税など)…法定納期限から50日以内に送付
- 地方税(住民税・固定資産税など)…法定納期限から20日以内に送付
督促状が届いた段階では、まだ交渉の余地が十分あります。無視せず、すぐに窓口へご連絡ください。
【流れ③】電話・文書による催促・催告書
督促状の後、電話や催告書による連絡が続きます。
この段階が、差し押さえを回避できる最後のチャンスです。
財産調査に進む前であれば、分割払いや猶予の交渉が最も通りやすい時期だからです。
例えば、催告書が届いた時点で「一括は難しいが分割なら払える」と申し出ることで、差し押さえを止めながら納付計画を立てられるケースがあります。
【流れ④】財産・人物調査
税務署や自治体は、差し押さえに備えて財産調査を実施します。
調査できる理由は、国税徴収法により、税務当局は金融機関・勤務先・法務局などへの照会権限を持っているからです。本人への通知なしに調査が進む点に注意が必要です。
調査対象の例は次の通りです。
- 金融機関への預金残高照会
- 勤務先への給与額照会
- 法務局への不動産登記照会
- 証券会社への保有株式照会
【流れ⑤】差し押さえ予告通知の送付
財産調査の後、差し押さえ予告通知書が送付されます。
予告通知書が届いてから実際の差し押さえまでの猶予は、数日〜2週間程度が目安です。
ただし、自治体や状況によっては予告なしに実行される場合もあります。
この通知が届いた時点で、すぐに税務署・市税事務所へ連絡することをおすすめします。
【流れ⑥】差し押さえの開始
予告通知の後、差し押さえが実行されます。
差し押さえは、財産の種類に応じた方法で行われます。
- 預金口座の凍結
- 給与の徴収命令
- 不動産への差し押さえ登記
予告なしに実行されるケースもあるため、催告書・予告通知が届いた時点での早期対応が重要です。
次のような行為はNGです。
| 絶対NGな行動 | 理由 |
|---|---|
| 財産の隠匿・名義変更 | 詐害行為として取り消され、刑事罰の対象になる場合がある |
| 督促状・通知を無視し続ける | 差し押さえが進行する |
| 差し押さえを放置する | 延滞税が増え続ける |
| 税務署に虚偽の申告をする | 信頼関係が壊れ、交渉が難しくなる |
【流れ⑦】差し押さえた財産の換価(公売)
現金以外の財産は、公売(オークション)で現金化されます。
公売の流れは次の通りです。
- 公売公告(官報・自治体サイトで告知)
- 入札受付
- 開札・落札者決定
- 代金納付・所有権移転(落札後おおむね1〜3か月以内)
一度公売が開始されると、滞納額を全額納付しない限り、手続きの停止は難しいです。
【流れ⑧】 滞納税への充当
換価で得た代金は、次の優先順位で滞納税に充当されます。
①本税(滞納している税金の元本)
①延滞税
充当後に余剰金が生じた場合は、本人に返還されます。
不動産の売却額が滞納額を大きく上回った場合などに発生します。
差し押さえられたときの対処法
- 税務署・市税事務所に相談する
- 全額納付する
- 分割払いの交渉をする
- 給与差し押さえの解除を相談する
- 預金凍結に対応する
- 自宅・不動産が対象の場合は任意売却をする
- 生活保護・減免制度を利用する
- 個人再生・自己破産をする
- 不動産担保ローンを利用する
それぞれご案内していきます。
税務署・市税事務所に相談する
基本的には、まず税務署・市税事務所にご連絡ください。
- 相談窓口
| 税金の種類 | 窓口 | 受付時間 |
|---|---|---|
| 所得税・法人税 | 所轄の税務署 | 平日8:30〜17:00 |
| 住民税・固定資産税 | 市区町村の税務課・市税事務所 | 平日8:30〜17:00(自治体による) |
電話をして、相談時に用意しておくものを準備してから、ご訪問ください。
- 督促状・差し押さえ通知書
- 収入・支出がわかる書類(給与明細・通帳など)
- 滞納税額の内訳メモ
全額納付する
滞納額を一括で納付したら解決します。
ただし、納付直後に差し押さえが自動解除されるわけではありません。
差し押さえの解除手続きは税務署が行うもので、納付の確認後に別途手続きが必要だからです。
納付後は必ず税務署に「差し押さえ解除の確認」を取るようにしてください。
分割払いの交渉をする
一括納付が難しい場合、換価の猶予・納税の猶予を申請することで、分割払いが認められる場合があります。
換価の猶予とは、差し押さえた財産の売却を一時的に止めてもらいながら、分割で納付する制度のことです。
一括納付が困難な事情があると認められた場合は、分割払いをすることができます。
換価の猶予の申請期限は、納付すべき国税の納期限から6か月以内です。
申請時に必要な書類の例は次の通りです。
- 換価の猶予申請書
- 収支の状況が分かる書類(家計収支表・事業収支表など)
- 財産目録
給与差し押さえの解除を相談する
給与差し押さえが始まっている場合、解除する方法は主に次の通りです。
- 滞納税を全額納付する
- 分割払いの交渉が認められ、差し押さえ解除の合意を得る
解除されると、税務署から勤務先へ「差し押さえ解除通知書」が送付されます。
会社への通知は避けられませんが、解除通知が届くことで差し引きは止まります。
預金凍結に対応する
預金口座が凍結された場合、凍結されていない別口座や手元現金から生活費を確保する必要があります。
ただし、生活費確保を目的に財産を別口座へ移すことは、隠匿とみなされるリスクがあります。
税務当局は複数口座を調査する権限を持っており、意図的な分散と判断された場合、交渉が著しく不利になるからです。
対応の手順は次の通りです。
- 差し押さえ通知書で凍結対象口座を把握する
- 税務署と生活費相当分の解除交渉をする
生活に必要な現金や最低生活費相当額を根拠に交渉することになります。
自宅・不動産が対象の場合は任意売却をする
不動産が差し押さえられた場合、任意売却か換価猶予の申請を検討してください。
任意売却とは、返済が難しくなった不動産を、債権者(税務署など)の同意を得て市場で売却することです。
公売よりもメリットがあります。
| 任意売却 | 公売(強制売却) | |
|---|---|---|
| 概要 | 本人が主体的に売却する | 税務署が強制的に売却する |
| 売却価格 | 市場価格に近い価格で売れる | 市場価格より低くなりやすい |
| 手続き | 不動産業者を通じて進める | 税務署主導で進む |
| メリット | 残債処理や引越し時期の調整が可能 | 本人の意思不要 |
任意売却は、差し押さえ後でも、売却代金から滞納税を納付して税務署が差押登記を解除することに同意すればできます。
公売が始まる前にご検討ください。
生活保護・減免制度
生活に困っているなら、税金の減免申請と生活保護申請は並行し進めてみてください。
生活保護受給者などには担税力(税を負担する能力)がないと判断され、税額が減額・免除される仕組みがあります。
申請窓口は次の通りです。
- 税金の減免申請…市区町村の税務課
- 生活保護申請…市区町村の福祉事務所(福祉課)
個人再生・自己破産をする
税金の滞納に加えて、借金がある場合は、次のことをご検討ください。
- 個人再生…裁判所の認可を受けて借金を大幅に減額し、原則3〜5年かけて分割返済する手続き
- 自己破産…裁判所に申し立てを行い、返済不能と認められた場合に借金の支払義務を免除してもらう手続き
税金は非免責債権のため、自己破産しても免責されません。
ですが、他の借金(カードローン・消費者金融など)を整理することで毎月の返済負担が減り、税金を納付できる状況を作れます。
不動産担保ローンを利用する
手持ちの不動産を担保にローンを組み、一括納付する方法です。
不動産の価値が3,000万円なら、60〜80%の1,800万〜2,400万円を借りられる可能性があります。
ただし、差し押さえ登記が入った不動産はローン審査をしてもらえないことがあります。
金融機関にとって差し押さえ登記がある不動産は担保価値が低いからです。
できれば、差し押さえの予告通知が届く前にご相談ください。
通知が届いているなら、早急に金融機関へご相談ください。
まとめ
税金滞納による差し押さえは、放置せずに対処なさってください。
一人で抱え込まず、まずは税務署に電話することをご検討ください。


不動産担保ローン











