「遺産分割協議中だけど、まとまったお金がすぐに必要…」
「協議が終わるまで、銀行はお金を貸してくれないの?」
結論は、遺産分割協議が終わっていなくても、不動産を担保にお金を借りられる場合があります。
その方法・使い道・注意点・借入額の目安までをまとめて解説します。
- 銀行は名義が故人のままの不動産には融資しにくいが、ノンバンクの不動産担保ローンなら対応できることがある
- 法定相続分で相続登記をすれば、自分の共有持分を担保に借りられることもある
- 主な使い道は、相続税・代償金・生活費などの「つなぎ資金」
- 差し押さえ登記が入るとローン審査は難しくなるため、早めの相談が重要
遺産分割協議中でも、お金は借りられる?
借りられるかどうかは、相談する相手によって大きく変わります。
ここからは次の内容をご案内します。
- なぜ銀行では借りにくいのか
- ノンバンクの不動産担保ローンなら可能な場合がある
- 自分の共有持分を担保に借りる方法
なぜ銀行では借りにくいのか
銀行が不動産を担保にお金を貸すには、その不動産の所有者(担保を提供する人)がはっきり決まっている必要があります。
ところが、遺産分割協議中の不動産は、名義が故人のままだったり、誰がどの割合で取得するかが確定していなかったりします。
所有者が定まっていない不動産には担保(抵当権)を設定しにくいため、銀行は融資に慎重にならざるを得ません。
これが、「遺産分割協議中は銀行では借りにくい」と言われる理由です。
ノンバンクの不動産担保ローンなら可能な場合がある
一方で、ノンバンク(貸金業者)の不動産担保ローンは、銀行より柔軟に対応できることがあります。
土地や建物などの不動産を担保(抵当権を設定するもの)として、お金を借りる融資のことです。担保があるぶん、無担保ローンより大きな金額・低い金利で借りやすい一方、返済できないときは担保不動産を失うことになります。
銀行が画一的な基準で判断するのに対し、ノンバンクは不動産そのものの価値や個別の事情を見て審査します。
そのため、相続や共有がからむ案件にも応じやすい傾向があります。
「銀行で断られた」という相続案件でも、ノンバンクの不動産担保ローンであれば、資金調達の道が残っていることがあります。
自分の共有持分を担保に借りる方法
遺産分割が決まらなくても、借り入れにつなげる方法があります。
それが、法定相続分による相続登記(共有登記)を入れる方法です。
遺産分割が決まらなくても、民法で定められた相続分(法定相続分)どおりに、相続人全員の共有名義で登記することです。各相続人が単独で申請でき、これによって各人が「共有持分」を正式に持つことになります。
この登記を入れれば、各相続人は自分の共有持分を持つことになります。
自分の持分に担保を設定すること自体は、他の共有者の同意なく行えます(民法206条)。
ただし、共有持分だけを担保に取り扱う貸し手は限られるため、相続・共有に対応できる専門の業者へご相談ください。
遺産分割協議中の借り入れは、どんなときに使う?
遺産分割協議中の借り入れは、多くの場合「つなぎ資金」として使われます。
ここからは主な資金ニーズをご案内します。
- 相続税の納税資金
- 代償分割の代償金
- 葬儀費用・当面の生活費
相続税の納税資金
相続税は、相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、原則として現金で一括納付します。
- 相続開始を知った日の翌日から10か月以内に申告・納付
- 原則、現金で一括納付
- 遺産分割が間に合わなくても、未分割のまま申告・納税が必要
遺産分割が間に合わず納税資金が足りない場合、不動産を担保にした借り入れでまかなうケースがあります。
代償分割の代償金
一人が不動産を相続し、他の相続人に現金を支払う「代償分割」では、その代償金を不動産担保ローンで用意することがあります。
特定の相続人が不動産などの現物を取得する代わりに、他の相続人へ現金(代償金)を支払って公平を保つ分割方法です。手元に十分な現金がない場合、代償金の工面が課題になります。
「自分が実家を継ぎたいが、兄弟に渡す現金がない」というとき、不動産担保ローンが選択肢になります。
葬儀費用・当面の生活費
そのほか、葬儀費用や当面の生活費など、分割が確定するまでの資金需要にも使われます。
故人の預貯金は、遺産分割が終わるまで自由に引き出せないことが多く、当座の資金に困る方は少なくありません。
借りる前に知っておきたい4つの注意点
- 利息と返済義務がある
- 返済できないと担保不動産を失う
- 相続登記の義務化(2024年4月)に注意
- 差し押さえ登記が入ると審査が通りにくい
①利息と返済義務がある
借り入れは、あくまで「返すこと」が前提のお金です。
遺産分割協議が思った以上に長引けば、その間も利息が発生し、返済の負担が重くなります。
②返済できないと担保不動産を失う
特に共有持分を担保に入れた場合、返済が滞れば大切な持分を失ってしまうおそれがあります。
無理のない返済計画を立てることが大切です。
③相続登記の義務化(2024年4月)に注意
2024年4月から相続登記が義務化されました。
不動産を取得したことを知った日から3年以内に登記しないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
借りるにせよ手放すにせよ、登記の問題は避けて通れません。
④差し押さえ登記が入ると審査が通りにくい
税金や借金の滞納で差し押さえ登記が入った不動産は、ローン審査が通りにくくなります。
金融機関にとって、差し押さえ登記のある不動産は担保価値が低いからです。
資金が必要になりそうなら、差し押さえの予告通知が届く前にご相談ください。
不動産担保ローンで、いくら借りられる?
借入可能額は、担保にする不動産の評価額によって決まります。
- 一般的な目安は、評価額の60〜80%
- つまり、1,800万〜2,400万円を借りられる可能性がある
不動産の価値が3,000万円なら、60〜80%の1,800万〜2,400万円が目安です。
共有持分を担保にする場合は、持分割合に応じて評価され、借入可能額もその範囲になります。
実際の借入額は、物件の条件・持分割合・審査の結果によって変わりますので、まずは査定をご相談ください。
「借りる」と「売る」、どちらを選ぶ?
不動産を活かして資金を得る方法には、「担保に入れて借りる」ほかに「売却する」もあります。
- 不動産担保ローンと売却の比較
| 比較項目 | 不動産担保ローン | 売却 |
|---|---|---|
| 不動産 | 手元に残る | 手放す |
| 手元のお金 | 借りた額が入る | 売却代金が入る |
| 返済・利息 | あり | なし |
| 向くケース | 将来も持ち続けたい・つなぎ資金が必要 | 手放してよい・返済を抱えたくない |
「将来も不動産を持ち続けたい」「相続税などのつなぎ資金が必要」という場合は、不動産担保ローンが向いています。
不動産を手放すことなく、必要な資金だけを用意できるからです。
一方、「もう手放してよい」「返済を抱えたくない」という場合は、売却が選択肢になります。
ご自身が不動産をどうしたいかで、選ぶ方法は変わります。
まとめ
遺産分割協議中でも、不動産を担保にすれば、ノンバンクの不動産担保ローンなどで資金を用意できる場合があります。
法定相続分での登記を入れれば、自分の共有持分を担保に借りられることもあります。
ただし、差し押さえ登記が入るとローン審査は難しくなりますので、早めの対応が肝心です。
不動産があるなら、まずは不動産担保ローンをご検討ください。
丸の内AMSでは、相続・共有がからむ不動産担保ローンのご相談もお受けしています。


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