不動産売却つなぎローンとは?利用するケースやメリット・デメリットを解説

投稿日:2025年5月19日

「不動産売却つなぎローンって?どんなケースに使える?」
「対応している金融機関を知りたい」

このように考えていませんか。

この記事では、不動産売却つなぎローンについてプロが分かりやすくご案内します。

この記事の作成者

融資部 部長
浜崎 雷Rai Hamazaki

【資格】管理業務主任者、宅地建物取引士
お客様の大切な所有不動産の評価を最大限に、ゆとりある生活のサポートをさせていただきます。「お客様の明日のために、今日、自分は何ができるか」を考え、日々奮闘しています。

不動産売却つなぎローンとは?

不動産売却つなぎローンとは、売却予定の不動産を担保に借入を行い、最終的に売却代金で返済するローンです。

不動産売却前に資金が必要になるケースで利用できるため、機会ロスや延滞リスクの回避に役立ちます。

似たようなローンとの違いは次の通りです。

  • 「不動産売却つなぎローン」「住宅ローン」「不動産担保ローン」の違い
項目 不動産売却つなぎローン 住宅ローン 不動産担保ローン
目的 自由 住宅購入 自由
年数 1ヵ月~2年 1~35年 1~35年
金利 3~15% 0.6~2% 1~15%
審査の重視項目 不動産の価値 本人の収入・属性 不動産の価値
住宅ローン控除 なし あり なし
月の返済 利息のみ 元金+利息 元金+利息
返済原資 不動産売却益 給与・収益 給与・収益
融資のタイミング 任意 住宅完成後 任意

条件は金融機関で異なります。

不動産売却つなぎローンは、ノンバンクが取り扱っています。

銀行のつなぎローンには、注文住宅を建てる際に、住宅ローン入金前に一時的に組まれる売却不要の融資がほとんどです。

不動産売却つなぎローンを利用するケース【個人の場合】

詳しくご案内します。

【ケース①】自宅の住み替え資金

自宅の売却前に、新居の購入資金を準備できます。

気に入った物件を買い逃さずに済みます。

自宅の住み替えの事例

Aさんは定年を機に地方への住み替えを希望している。

売却先と新居を探していたところ、新居として条件の良い物件を見つけた。

自宅の売却を待っていたら誰かに買われてしまうと考えたAさんは、自宅を担保に不動産売却つなぎローンを利用し、無事に新居を購入できた。

その後自宅の売却先が見つかり、売却代金でローンを返済した。

【ケース②】相続税の納税資金

不動産を相続したが納税資金が無く、不動産の売却が相続税の支払い期限に間に合わない場合に利用できます。

※相続税の納税期限は、相続開始から10ヵ月以内

また、不動産を相続した代償金を他の相続人へ支払う場合にも活用できます。

相続税の事例

父が亡くなり、一人息子のBさんが全財産を相続した。

実家に住む気はなく、後々売却しようと考えていたが、相続税の納税期限までに売却が間に合わないと気付いた。

実家を担保に不動産売却つなぎローンを利用し、期限内に相続税を納めた。

【ケース③】老人ホームへの入居資金

老人ホームへ入居する際にかかる資金を、自宅を売却する前に調達できます。

人気の老人ホームは、空きが出たらすぐに申しこまないと枠が埋まってしまいます。

老人ホーム入居の事例

Cさんの父は1人暮らし中に足腰が悪くなり、介護老人ホームへの入居を検討している。

希望していた老人ホームに空きができたが、すぐに入居一時金を払わないと枠が埋まってしまう。

父とCさんは、自宅を担保に不動産売却つなぎローンを利用し、老人ホームの入居枠を確保できた。

その後Cさんが売却活動を行い、自宅所有者である父が売買契約をしてローン返済した。

不動産売却つなぎローンを利用するケース【法人の場合】

詳しくご案内します。

【ケース①】事業の運転資金

売掛金の回収までに一時的に資金繰りが悪くなる場合に利用します。

運転資金の事例

D社で大型受注があり、材料費・外注費を先行して発生すると、その売掛金の回収は数ヶ月後で、一時的に資金繰りが悪化することが分かっている。

そこで、売却予定だった古い事務所を担保に不動産売却つなぎローンを利用した。

滞りなく事業を完了したことで先方からの信頼を得ることができ、今後の取引拡大につながった。

【ケース②】先行事業投資

先行事業へ投資するタイミングを逃したくないときに利用します。

先行事業投資の事例

不動産事業を営むE社は、新しいアパート建設に最適な駅近の土地を見つけた。

売却が決定しているアパートFの売却代の入金は4ヶ月後で、今は土地購入費・建築費が無い。

そこでアパートFを担保に不動産売却つなぎローンを利用し、駅近の土地を購入できた。

4ヶ月後、アパートFの売却代金でローン返済した。

【ケース③】事業所の移転資

事業所・店舗の移転にも利用できます。

仮事業所の用意やそのための引越をせずにすみます。

事業所の移転の事例

G社は会社の規模拡大に伴い、立地の良い事業所への移転を検討している。

希望の物件が見つかったが、別件があり、今は手元に資金がない。

そこで旧事業所を担保に不動産売却つなぎローンを利用し、新しい事業所を契約した。

【ケース④】納税資金

法人税の中間申告や確定申告に伴う納税資金として活用できます。

納税資金の事例

H社は法人税の納付を不動産売却益でする予定だった。

だが売却が予定よりも遅れ、納付期限に間に合わないことが分かった。

そこで不動産売却つなぎローンを利用し、期限内に法人税の納付を行い、延滞税を払わずに済んだ。

【ケース⑤】 相続・事業承継にかかる資金

経営者が後継者へ相続・事業承継する際に発生する可能性がある次の費用を賄うために利用します。

  • 相続税
  • 贈与税
  • 免許登録税
  • 不動産取得税
  • 弁護士/税理士報酬
相続・事業承継の事例

会社経営者のIさんは高齢のため、息子への事業承継を検討していた。

Iさんは個人で所有している自社株の95%を生前贈与する計画だったが、贈与税や税理士への報酬などで数百万円の資金が必要になる見込みだった。

そこで、売却交渉中だった旧事務所を担保に「不動産売却つなぎローン」を利用した。

結果、決算期や繁忙期を避けた計画的でスムーズな事業承継が実現できた。

【ケース⑥】リフォーム資金

売却予定の不動産をリフォームして販売するために利用します。

リフォーム資金の事例

不動産会社のJ社は、立地は良いが老朽化しており安く購入した4,500万円の不動産を、リフォームして売却する計画を立てている。

ただ、リフォーム費用が想定以上にかかることが分かったため、その不動産を担保に不動産売却つなぎローンを利用してリフォームをした。

リフォーム後、6,000万円で売却し、その代金でローンを返済した。

不動産売却つなぎローンを利用する7つのメリット

詳しくご案内します。

【メリット①】自分のタイミングで資金を用意できる

不動産売却には数ヶ月~かかります。

このローンなら、いつになるか分からない不動産売却の入金を待たなくて済むため、機会を逃したり、計画的に物事を進められたりします。

【メリット②】売り急ぐ必要が無くなる

資金確保を急いで安く買い叩かれる事態を防ぐことができるからです。

ただし、短期ローンのため猶予は短いです。

返済期限までには必ず入金されるように売却活動を行ってください。

【メリット③】月々の返済が利息のみで済む

元金は不動産売却代金で一括返済するからです。

借入期間中の負担は少ないですが、元金が減らないため利息は満額かかります。

なお、契約によっては元金の一部返済が必要です。

【メリット④】自由な目的で使える

資金使途が制限されないため、様々な目的に利用できます。

ご案内した通り、個人なら、自宅の住み替え資金、相続税の納税資金、老人ホームへの入居資金などに利用されます。

法人なら、事業の運転資金、先行事業投資、事業所の移転資金などです。

【メリット⑤】融資額が大きい

担保不動産の価値によって融資額が決まるからです。

本人の収入や会社の規模に関わらず、担保価値に見合った金額(数十万円~10億)を借りられる可能性が高いです。

なお、不動産担保ローンは総量規制(貸金業者から借りられる総額は年収の1/3までとする法律)の対象外です。

詳しくは「不動産融資は総量規制の対象外!…ただし例外アリ」でご確認いただけます。

【メリット⑥】余計な費用をかけずに済む

自宅の住み替え・事業所移転の場合、仮住まいを探したり、引越したりする費用や手間をかけずに済みます。

  • 自宅住み替えの例
項目 先に自宅売却する 不動産売却つなぎローンを利用して先に新居を購入する
仮住まい 必要 不要
引っ越し 2回(自宅→仮住まい→新居) 1回(自宅→新居)

【メリット⑦】返済計画が立てやすい

返済原資が明確で、借入期間が短いからです。

数十年先を見通す必要のある長期ローンと比べて、見通しは数ヶ月~2年程度で済みます。

不動産売却つなぎローンを利用する6つのデメリット

詳しくご案内します。

【デメリット①】物件が差し押さえられる可能性がある

不動産を担保にしており、抵当権が設定されているからです。

返済不能になれば、差し押さえられます。

差し押さえられた土地・建物は競売にかけられ、その売却代金から返済されます。

競売には次のようなデメリットがあります。

  • 競売の場合は市場より安く落札されることが多い
  • 残債が残る場合がある
  • 信用情報に影響する

【デメリット②】想定の金額で売れない可能性がある

不動産売却には市場動向や買主の需要・タイミングなどの様々な要素が絡み、確実性は無いからです。

不足が出れば、何とかして補う必要があります。

そうならないように売却活動を進めてください。

【デメリット③】信用評価に影響を与える可能性がある

企業が不動産売却つなぎローンを利用すると、貸借対照表に短期借入金として記載します。

金融機関によっては、財務状況が不安定と見なされる可能性があります。

また、取引先からの信用評価に影響する可能性があります。

【デメリット④】希望額を借入できないことがある

金融機関の審査によって金額が決まるからです。

主に審査されるのは不動産の担保価値額です。

その評価額が少なければ、融資の金額は相応の金額になります。

【デメリット⑤】住宅ローンより金利が高い

前述の通り、このローンの金利は3~15%、住宅ローンは0.6~2%です。

旧居の住宅ローンが残ったまま売却できないと、毎月の返済負担が大きくなります。

【デメリット⑥】手数料・諸費用がかかる

不動産売却つなぎローンでは金利以外にも、手数料・諸費用がかかります。

かかる可能性がある費用は次の通りです。

  • 事務手数料(2~6%)
  • 不動産調査料(5~10万円)
  • 収入印紙代(200円~10万円)
  • 司法書士費用(3~5万円)
  • 登録免許税(0.4%)
  • 振込手数料(数百円)

金融機関によって変わりますので、詳しくはお問い合わせください。

不動産売却つなぎローンに対応している金融機関5社

詳しくご案内します。

丸の内AMS

丸の内AMSは知識と経験に基づいた独自の審査基準により、不動産を最大限評価しています。

融資可能額は最大5億円です。

住宅ローンの残債があっても、高齢者でも審査対応しています。


浜崎
丸の内AMSでは、税金の滞納があっても、融資金で納付できれば融資の対象になります。
  • 丸の内AMS
対象 個人・法人
期間 1ヵ月~10年
融資日数 最短2日
融資額 500万円〜5億円
金利 年率3.8%~(実質年率15.0%以下)
取扱地域 関東1都3県(一部対応外)

SBIエステートファイナンス

SBIエステートファイナンスは、融資可能額は最大10億円です。

SBIホールディングスのグループ企業で、東証プライムに上場しています。

  • SBIエステートファイナンス
対象 個人・法人
期間 1ヵ月~12ヵ月
融資日数 最短翌日
融資額 500万円~10億円
金利 3.70%~7.80%(実質年率15.0%以下)
取扱地域 関東1都3県・関西2府4県

セゾンファンデックス

セゾンファンデックスの対応エリアは全国です。

契約後は返済期間延長不可のため、売却の確実性を高めてください。

  • セゾンファンデックス
対象 個人・個人事業主・法人
期間 2年/1回~24回
融資日数 最短3営業日
融資額 500万円~5億円
金利 固定金利3.65~9.9%(実質年率15.0%以下)
取扱地域 全国(一部対応外)

L&Fアセットファイナンス

L&Fアセットファイナンスの融資可能額は最大10億円です。

個人も法人もOKですが、不動産事業者は利用できません。

  • L&Fアセットファイナンス
対象 個人・個人事業主・法人(不動産事業者以外)
期間 2年/1回~24回
融資日数 最短1週間
融資額 1,000万円~10億円
金利 3.30%~5.65%(実質年率15.0%以下)
取扱地域 東京・神奈川・大阪・名古屋・仙台・福岡・広島など

新生インベストメント&ファイナンス

新生インベストメント&ファイナンスは変動金利を採用しており、金利が年2.95%~5.90%と低めです。

全額繰上返済時の手数料は不要です。

  • 新生インベストメント&ファイナンス
対象 個人・個人事業主・法人
期間 1年/12回
融資日数 最短3営業日
融資額 1,000万円~5億円(法人は上限10億円)
金利 変動金利 年2.95%~5.90%(実質年率15.0%以下)
取扱地域 関東1都3県(一部対応外)
札幌、仙台、名古屋、京都、大阪、神戸、福岡の一部

不動産売却つなぎローンのまとめ

不動産売却つなぎローンは、いつ用意できるか分からない不動産売却代金を事前に有効活用できる手段です。

メリット・デメリットを踏まえて検討し、明確な返済計画を立ててご利用ください。

丸の内AMSへお気軽にお電話くださいませ

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返済期間 最長35年

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