「不動産業が利用できる融資を知りたい」
「不動産業の新規開業で使える融資ってある?」
このように考えていませんか?
この記事では、不動産業の融資について、プロが分かりやすくご案内します。
目次
不動産業者が融資を受けるメリットと融資を選ぶポイント

不動産業の種類は5つあります。
- 不動産売買
- 仲介業
- 開発業
- 賃貸業(大家・投資家含む)
- 管理業
※このうち、不動産売買や仲介をするには、宅地建物取引業法により、「宅地建物取引業者の免許」が必要と定められています
ここからは、不動産業が融資を受けるメリットと融資を選ぶポイントをご案内します。
不動産業が融資を受ける6つのメリット
- 自己資金を温存できる
- 自己資本以上の取引ができる
- スピーディに仕入れができる
- 金融機関との取引実績ができる
- 結果的に節税効果を得られる
- 資金繰りが安定する
不動産業で取り扱う不動産や案件の金額は、数百万~数千万、数千万~数億円と、規模が大きいです。
そのため、金融機関からの融資を受けなければ、経営が成り立ちません。
融資を受けられれば、自社の資本を使わずに、大きな物件を購入したり、開発をしたりすることができます。
融資を受けて、会社を成長させ続けることができれば、より多くの融資を引くことができるようになります。
不動産業者が融資を選ぶポイント
- 融資を選ぶポイント
ポイント | 概要 |
---|---|
資金使途 | 資金使途が決められた融資では、それ以外の目的に使用不可 |
スピード | 金融機関や借り手の状況で、審査・融資にかかる日数は数日~1ヵ月程度と幅がある |
返済期間 | 1年~20年 ※金融機関や提供サービスで異なる |
担保・保証人の有無 | 条件をクリア(担保提供、保証人の確保)できれば次のメリットを受けられる可能性がある ・金利が低くなる ・融資額が増える ・審査に通りやすくなる |
対応エリア | ・全国対応の金融機関がある ・地方銀行、信用金庫、信用組合は対応エリアを定めている ・不動産担保融資のノンバンクは会社によってエリアが異なる |
審査 | ・銀行、信用金庫、信用組の審査は厳しく時間を要する ・ノンバンクの審査はスピーディーで通りやすい |
掛目 | 担保価値の何%まで融資できるか計算する値のことで、不動産担保ローンの場合は不動産評価の60~80%が目安 |
金利 | ・1~12% ※金融機関や提供サービスで異なる ・固定金利、変動金利がある |
返済方法 | ・元利均等返済:返済額が毎月同じでトータルの返済額が大きい
・元金均等返済:返済額が徐々に減っていくが返済開始時の負担は大きい |
こうしたポイントを把握しておけば、自社の状況に合わせて、適切なタイミングで融資を利用することができます。
不動産業者の融資の使い道と利用できる融資

成長する会社は、利用できる融資を事前に把握した上で、自社の戦略にもとづいて計画を作成し、適切なタイミングで融資を受けています。
そのために、次の内容を把握しておいてください。
- 資金の使途と利用できる融資
- 審査で重視されるポイント
資金の使途と利用できる融資
使途には次のようなものがあります。
- 資金の使途の例
資金使途 | 概要 |
---|---|
仕入れ、物件購入 | 収益物件や分譲用地などの購入資金 |
不動産開発 | 建物の新築や大規模リノベーションなどに必要な資金 |
運転資金 | 給与・広告費・管理費・税金などの日常的な事業継続のための資金 |
設備資金 | オフィス代・ITシステム導入・オフィス備品・車両などの設備にかかる資金 |
維持管理 | 清掃・設備点検・保険・固定資産税など物件の維持にかかる資金 |
リフォーム | 退去後の原状回復・設備の更新・バリューアップ工事などにかかる資金 |
運転資金の借入について、より詳しくは、こちらの「不動産業者で運転資金を借入れたい方に6つの融資を分かりやすく解説」でご案内していますので、ご一読ください。
- 利用できる融資の例
融資 | 解説 |
---|---|
プロジェクト融資 | 特定の事業(不動産開発)の収益性に基づく融資不動産開発 |
不動産担保ローン | 不動産を担保とする融資 |
アパートローン | 賃貸用アパートの建築・購入に使える融資 |
ブリッジローン | 一時的な資金不足をつなぐ短期間のつなぎ融資 |
リフォームローン | 住宅や賃貸物件の改修・修繕を目的とした融資 |
ビジネスローン | 法人・個人事業主向けの事業資金専用融資 |
プロパーローン | 金融機関が独自で行うオーダーメイドの融資 |
これらは次の金融機関で取り扱っています。
- 銀行
- 信用金庫・信用組合
- ノンバンク
など
不動産業の場合、必要な資金が、数千万~数億円規模になることがあります。
その規模の案件で利用するのは、不動産担保ローンやプロパーローンです。
ただしプロパーローンは、銀行や信金、信組の融資を利用しながら、数期連続で黒字経営をするなど、信用を築くことで、はじめて利用できるようになります。
そのために必要なのが事業計画の作成と見直しです。
審査で重視されるポイント
不動産業者が融資を受けるにあたって、審査で重視されるポイントは次の通りです。
- 重視されるポイントの例
ポイント | 概要 |
---|---|
売上・利益 | 収益性が高く、安定しているかどうか |
資金繰り | 資金の出入りが健全で、返済能力に問題がないか |
企業の信用力 | 過去の融資や税金の滞納履歴はないか |
事業の計画性 | 収支見通しが現実的かつ戦略性があるか |
銀行や信金、信組などの金融機関の担当者との面談の際は、説得力を出すためにできるだけ具体的な数値を使ってください。
不動産担保ローンを取り扱うノンバンクなら、業績が悪くても、創業間もなくても、審査に通る可能性があります。
担保となる不動産の価値を重視するからです。
これから不動産業を開業する人が利用できる融資

不動産業を開業する人も、次の内容を把握しておいてください。
- 利用できる融資と対応している金融機関
- 審査で重視されるポイント
繰り返しになりますが、不動産業では大きな金額が必要ですので、適切なタイミングで融資を受けられないと、事業がストップしてしまいます。
事前に利用できる融資を把握し、戦略にもとづいて計画を作成してください。
利用できる融資と対応している金融機関
不動産業であれば、先ほどご案内した融資を利用できます。
ここでは新規に不動産業を開業する人だけが利用できる可能性がある融資をご案内します。
- 使える可能性がある融資と取扱機関
融資 | 概要 | 取扱機関 |
---|---|---|
新規開業・スタートアップ支援資金 | ・起業や新規事業立ち上げを支援するための融資 ・女性や35歳未満・55歳以上の優遇制度あり |
日本政策金融公庫 |
制度融資 | ・自治体と金融機関・信用保証協会が連携して行う公的支援融資 ・中小企業への支援を目的とした制度 |
自治体 |
※これらはあくまで使える可能性がある制度です
日本政策金融公庫とは、株式の100%を政府が保有する政策金融機関です。
創業者向けに融資をしていますが、不動産業専用の融資枠ではありません。
全国に約150店舗ありますので、最寄りの店舗にご相談ください。
自治体の場合は、自治体ごとに融資条件が異なります。
例えば、東京都では創業者向けに設備資金・運転資金として上限3,500万円の融資を行っています。
ですので、一度、各機関にお問い合わせください。
審査で重視されるポイント
不動産業を新規開業する場合、融資の審査で重視されるポイントは次の通りです。
- 審査で重視されるポイントの例
項目 | 概要 |
---|---|
事業計画の実現性 | 収支の見通しや運営方針が現実的か、リスク管理ができているか |
事前準備の状況 | 業務に必要な体制が整っているか |
自己資金の割合 | 自己資金を投入する熱意があるか、返済能力があるか |
業界経験の有無 | 業界に関する知識や経験は充分か |
スムーズに融資を受けるために、審査のポイントを把握しておいてください。
事前準備の例は、次の通りです。
- 営業に必要な資格や免許は取得済みか
- 事業を行う場所や人材は確保されているか
- 自己資金を準備しているか
- 市場調査はできているか
事業を始めるための準備が整っていると「事業成功の見込みが高い」と評価され、審査通過の可能性が高まります。
不動産業で融資を受ける5つの流れと審査に通るコツを解説
- 相談
- 申込・書類提出
- 面談・審査
- 結果通知・契約
- 融資実行
全体にかかる時間はノンバンクで数日、銀行は2週間~1ヵ月程度です。
相談はWebフォームや電話などで行うことができます。
審査に通るコツは次の通りです。
- 事業計画を作成する
- 書類を漏れなく準備する
- 情報は正確に開示する
- 担当者からの確認にすぐ返答する
事業計画には数字とその根拠、ロジックが必要です。
なぜその資金が必要なのか?なぜそうなるのか?を詰めてください。
担当者の方への対応は、素早さや誠実さを心掛けてください。
不動産担保ローンなら、審査は即日、融資は最短2日~など、スピーディに対応している金融機関があります。
より詳しくは、『不動産担保ローン「法人・事業者向け」15社を徹底比較!』をご覧ください。
不動産業の融資に関するまとめ
高額な物件を取り扱う不動産業で重要になるのが、資金調達、資金繰りです。
資金使途や必要な額、利率などを正確に把握してからご利用ください。